新NISAで暴落したらどうする?売る・続ける・減額の判断基準
評価額が赤くなると、積立設定を止めたくなるのは自然なことです。我が家の場合は、事前に調べて「長期では回復してきた」と理解していたので、下落のときはむしろ「今のうちに買い増しした方がいいのか」と考えていました。とはいえ、どう動くにしても軸になるのは相場ではなく、家計の側です。
ただ、暴落時の対応に一律の正解はありません。「長期なら大丈夫」と言い切ることも、「今すぐ売るべき」と煽ることも、この記事ではしません。代わりに、我が家が約8年の投資で使ってきた「確認の順番」を紹介します。
- 保有商品は分散型の投資信託か、個別株か
- そのお金を使う時期はいつか
- 生活防衛費と毎月の家計に問題はないか
- 不安なく持ち続けられる金額か
我が家はこの4点を確認したうえで積立を続けてきましたが、減額・停止・一部売却が合う家庭もあります。生活費が必要なら売却も選択肢ですし、投資先そのものに問題があるなら保有継続を前提にしません。
我が家の前提
30代共働き会社員夫婦+子ども2人(3歳・1歳)/住宅ローン・車あり/投資歴約8年(SBI証券・オルカン中心の長期方針・高配当の個別株も一部保有)。前提が違う家庭は、ご自身の状況に読み替えてください。

積立継続・減額・停止・一部売却・全部売却は何が違う?
下落時にできる操作は「売るか売らないか」の2択ではなく、実際には5つあります。「新規の積立をどうするか」と「すでに持っている分をどうするか」は別の操作なんですよね。ここが混ざると判断を間違えやすくなります。
| 選択肢 | 何を変える操作か | 注意点 |
|---|---|---|
| ①積立継続 | 新規買付も既存保有も続ける | さらに下がる可能性も、戻る可能性もある |
| ②積立減額 | 新規買付額を減らし、既存分は保有する | 家計負担は軽くなるが、保有分の値動きは残る |
| ③積立停止 | 新規買付を止め、既存分は値動きのある状態で保有する | 止めても保有分の下落リスクはなくならない |
| ④一部売却 | 必要額や配分の超過分だけ現金化する | 売却時点の価格が取得額を下回れば、売却部分の損失が実現する |
| ⑤全部売却 | 投資目的の終了・近い資金需要・商品見直しで現金化する | 売らずに持てば、その後さらに下がる可能性も戻る可能性もある |
売却を考えるなら、NISAならではの税務のルールも知っておく必要があります。NISA口座の売却損は税務上ないものとみなされ、特定口座・一般口座の利益との損益通算や翌年以降への繰越控除はできません(国税庁 タックスアンサーNo.1535)。
- 2024年以降の現行NISAで購入した商品を売却すると、その商品の取得額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できる(金融庁「NISAを知る」「よくある質問」)
- 復活するのは売却時の時価ではなく取得額の分
- その年の年間投資枠(つみたて120万円・成長240万円)が増えるわけではない
- 2023年までの一般NISA・つみたてNISAの商品は1,800万円枠の外枠で管理されており、売却しても現行NISAの非課税保有限度額は復活しない(金融庁「2023年までのNISA」)
つまり「一度売ったら非課税枠が消える」わけではありません。ただし、売却した取得額分の総枠を再利用できるのは翌年以降です。その年の年間投資枠が残っていれば買付はできますが、売却した分だけ同年の年間投資枠が増えるわけではありません。
過去の下落と回復から分かること・分からないこと
「過去の暴落はいずれ回復した」という説明をよく見かけますが、そのまま信じるのは危険です。過去データは「必ず戻る根拠」ではなく、下落幅と回復期間に大きな幅があることを知る材料として使います。
例として、米国の大型株指数S&P500(米ドル建て・配当なしの価格指数)を見ます。指数の終値データでは、2020年のコロナショックで2020年2月19日から3月23日までの約1か月で33.9%下落しました。その後、この指数は同年8月に下落前の高値を回復しています。

ただし、下落局面は毎回条件が違います。同じ条件で横並び比較ができないため、3つの局面は出来事と注意点だけを整理します。
| 局面 | 何が起きたか | 注意点 |
|---|---|---|
| 2020年3月(コロナショック) | 短期間の急落。S&P500は約1か月で33.9%下落(終値ベース) | 回復は結果的に早かったが、当時それを知る方法はなかった |
| 2022年(年間を通じた下落局面) | 米国の利上げ等を背景に、年間を通してじわじわ下がる展開 | 急落より長引く下落の方が、積立をやめたくなりやすい |
| 2024年8月(急落) | 日経平均が当時過去最大の下げ幅を記録。金融担当大臣は、長期・積立・分散を踏まえて冷静に判断するよう述べた | 現行NISA開始後の大幅下落。下落の背景や回復時期は、その時点では判断できなかった |
この過去データから分かること・分からないことを分けると、こうなります。
分かること/分からないこと
- 分かること:幅広く分散された株価指数でも3割超下がることがある/回復までの期間は局面ごとにバラバラ
- 分からないこと:次の底値・回復の時期・個別株が回復するか・自分が使う時期までに戻るか
売る・続ける・減額を決める5つの確認項目
売るかどうかは、次の5項目を順番に確認します。どれか1つだけで結論を出さず、複数の条件を合わせて考えます。

確認1|何を持っているか(投資信託か個別株か)
オルカンのように複数の国・地域へ分散する投資信託や、S&P500連動型のように米国株の中で多数の銘柄へ分散する投資信託なら、確認するのは「市場全体の下落か」「自分の目的・期間・家計が変わったか」です。市場全体の下落で、自分の目的・使う時期・家計に変化がなければ、継続も候補に残ります。ただし、商品の分散範囲や株式の割合が当初の想定どおりかを確認し、不安が許容範囲を超えるなら減額や配分の見直しも検討します。
一方、個別株や特定の分野に偏った商品は、別の確認が必要です。一社固有の業績悪化・財務の傷み・不祥事は、市場が回復しても戻らないことがあります。「市場はいずれ戻るから」を個別株の保有理由にしてはいけません。買ったときの投資理由が崩れていないかを確認します。我が家も高配当の個別株を持っていますが、これは投資信託とは分けて判断しています。
確認2|いつ使うお金か・時期を延ばせるか
使う時期が近いお金は、新規積立の減額・停止だけでなく、すでに保有している分をいつ・どの程度預貯金へ移すかも検討対象です。積立を止めても、保有分の値下がりリスクは残るからです。
我が家は「使うまで5年を切ったら徐々に預貯金へ寄せる」を目安にしています。ただし5年は絶対的な境界ではなく、必要時期を延ばせるか・現金で別に用意できるか・値下がりへの耐性で前後します。教育費の考え方は別記事で詳しく書いています。

確認3|生活防衛費・毎月の収支・借入の返済
生活防衛費(急な出費や収入減に備える現金)を取り崩しながら積立を続けている状態なら、積立の減額・停止を先に考えます。必要額は一律いくらとは言えず、雇用の安定性・共働きかどうか・固定費の大きさで変わります。我が家も、急な出費や収入減にしばらく耐えられる額を投資とは別の預金で確保しています。
また、カードローンなど高金利の借入れがある場合は、積立継続を優先事項にしないのが基本です。収入減や休職の予定、近い大口支出も同じく確認します。ただし住宅ローンは金利も目的も違うので、高金利債務と同列に「完済優先」とは考えません。
確認4|無理なく持ち続けられる金額か
値下がりが気になって眠れない、家計簿を見るのが憂うつになる。そんな状態なら、積立額や株式の割合が「自分が無理なく持ち続けられる範囲」を超えている可能性があります。専門用語ではリスク許容度と呼びますが、要は値下がりにどこまで耐えられるかです。積立額を下げるのも、今の家計に合わせて調整する方法の一つです。
確認5|結論の候補を選ぶ
確認1〜4の結果を合わせて、継続・減額・一時停止・株式と預貯金などの割合の見直し・一部売却・全部売却から候補を選びます。たとえば「分散投信+使うのは15年以上先+防衛費あり+不安は許容範囲」なら継続が候補になりますし、「2年後に使う教育費+防衛費が心もとない」なら停止や保有分の現金化が候補です。1項目だけで自動的に結論を出さないことが大事です。なお使う時期まで10年以上あっても、元本割れや回復が間に合わない可能性はゼロにはなりません。
約8年の投資中に経験した3つの下落と我が家の対応
ここからは我が家の話です。NISA口座に限らず、約8年の投資経験で3つの下落局面に直面しました。2020年3月と2022年は現行NISAが始まる前の投資経験で、2024年8月が現行NISA開始後の急落です。
2020年3月は初めての大きな下落でした。当時はインデックス投資しかしていなかったこともあり、値動きを毎日見ないようにして、投資から少し距離を取っていました。そのうえで妻と確認したのは、直近で使う予定のお金が預金で準備できているか、ということでした。使うのはずっと先のお金で、生活防衛費も別にある。それで「設定は変えない」に落ち着きました。
2022年は一年を通じてじわじわ下がる展開でしたが、積立の設定は変えず、同じ額で淡々と続けました。このころには、値動きを見る頻度も月1回程度に落ち着いていきました。
平時の月1回に何を見ているかは、次の記事に分けています。

2024年8月の急落は、現行NISAを始めてから初めての大きな下落でした。3回目には、「安くなったなら買い増しはありか」を考えつつ、結局は同じ設定のまま淡々と続けました。このときも妻と、直近で使う予定のお金が預金で準備できていることを確認しています。なお、買い増しは余裕資金があってこその話で、我が家も生活防衛費と直近で使うお金を確認したうえで考えていました。相場を予想したのではなく、家計の側を確認して決めた。これが我が家のやり方です。同じ確認をして、減額や売却という結論になる家庭も当然あると思います。
下落前に決めておきたい家計と積立のルール
下落してから考えると、不安が判断に混ざりやすくなります。我が家も、下がってからその場で考えなくて済むように、平常時に確認する項目だけ決めています。決めているのは次の4つです。
- 生活防衛費を投資と別に確保する(必要額は雇用の安定性や固定費など家計条件で変わる)
- 数年以内に使う予定のお金は投資に入れない
- 下がっても続けられる金額に設定する
- 値動きの確認は月1回程度にとどめる。年1回は投資方針と資産全体のバランスを確認する(収入・教育費・住宅ローンなど家計が変わったときも見直しのタイミング)
「下がっても続けられる金額」の決め方は、家計からの逆算が我が家の基本です。平均額に合わせる必要はありません。決め方の手順は次に読む1本(記事末尾)で詳しく書いています。
新NISAの暴落・含み損でよくある質問
- 新NISAがマイナスになったら売るべきですか?
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一律の答えはありません。保有商品が分散型の投資信託か個別株か、そのお金を使う時期、生活防衛費と毎月の家計、無理なく続けられる金額かの順に確認して、継続・減額・停止・一部売却・全部売却の中から選びます。生活費が必要な場合や、個別株の投資理由が崩れた場合は売却も選択肢です。
- 積立を止めるとNISA口座はどうなりますか?
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新規の買付が止まるだけで、口座がなくなったり、保有している商品が自動で売却されたりすることはありません。保有分は値動きのある状態で運用が続き、金融機関の受付期限と、その年に残っている年間投資枠の範囲内で、積立設定を再開できます。ただし停止しても保有分の下落リスクはなくならない点に注意してください。
- 過去の暴落はどれくらいで回復しましたか?
-
例として米国のS&P500(米ドル建て・配当なしの価格指数)は、2020年2月19日から3月23日に終値ベースで33.9%下落し、同年8月に下落前の高値を回復しました。ただし回復までの期間は局面ごとに大きく異なり、過去の実績は将来の回復を保証しません。個別株には当てはまらない点にも注意が必要です。
- 教育費など数年以内に使う予定のお金はどうすればいいですか?
-
使う時期が近いお金は、新規積立の減額・停止に加えて、保有分を少しずつ預貯金へ移すことも検討します。我が家は使うまで5年を目安に預貯金へ寄せる方針ですが、5年は絶対の基準ではなく、時期を延ばせるか・現金で別に用意できるかで前後します。
まとめ|商品・使う時期・家計・不安を確認して決める
下落時の対応で大事なのは、相場の予想ではなく自分の側の確認です。何を持っているか、いつ使うお金か、生活防衛費と家計は大丈夫か、無理なく持ち続けられる金額か。この4点を確認すると、継続・減額・停止・売却のどれが自分の家計に合うかを整理しやすくなります。相場の先は確認後も分からないため、1項目だけで結論を急がず、必要なら一度に全部を変えない方法も候補にします。
振り返ると、3回とも直近で使うお金を預金で分けていたため、妻と確認したあとに設定を変えずに済んだ、という感じです。今も積立額は、相場ではなく家計が変わったときに見直しています。
▶次に読む1本|積立額を家計から逆算して決め直したい方はこちら。

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家計全体を順番に整えたい方は、ロードマップからどうぞ。

参考資料
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」
- 金融庁「2023年までのNISA」
- 国税庁 タックスアンサーNo.1535 NISA制度
- 国税庁 タックスアンサーNo.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- S&P Dow Jones Indices「U.S. Equities May 2020」(2020年2月19日〜3月23日の下落率33.9%の一次資料。アクセス環境により開けない場合あり)
- S&P Dow Jones Indices「S&P 500」公式ページ(終値データから2020年8月の高値回復を確認。アクセス環境により開けない場合あり)
- Federal Reserve Bank of St. Louis「S&P 500(SP500)」日次データ(終値の確認用)
- 金融庁 2024年8月5日 財務大臣兼金融担当大臣記者会見
免責事項
本記事は個人の体験と公開情報の調査に基づく投資の一般的な情報であり、特定の商品の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。売却・継続などの個別の判断は、ご自身の家計・目的・保有商品に応じて行ってください。
